大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)6580号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長野国助、同滝沢国雄、同渡辺卓郎の上告趣意第一点について。

原判決は検察官作成の被告人の第一回供述調書及び司法警察員作成の被告人の第二回供述調書は、検察官又は司法警察員の強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く拘留若しくは拘禁された後の自白とは認められず又任意性なきものとは認められないとしているのである。従って所論は原判決の右認定を非難する主張に帰するばかりでなく、本件記録を精査しても右各供述が強制、拷問等に基くものとは認められないこと原判決の説示するとおりであるから、所論憲法違反並びに判例違反の主張はその前提を欠き採るを得ない。

同第二点について。

刑訴二九一条による手続が終った後、証拠調に入る前に裁判官が被告人に対し公訴事実について質問しても必ずしも違法であるとはいえないことは当裁判所の判例(昭和二五年(あ)第三五号、同年一二月二〇日大法廷判決、昭和二五年(あ)第一六五三号、同二六年三月二九日第一小法廷決定)とするところである。されば論旨が引用する高等裁判所判例は刑訴四〇五条三号の判例に該らない。この点に関する原判決の判示は正当であり、論旨は採るを得ない。

同第三点について。

所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。のみならず、この点に関する原判決の判断は正当であって、論旨は採用できない。

同第四点について。

本件殺人未遂の訴因と傷害の認定事実とは公訴事実の同一性が認められ、原判決が訴因変更の手続を経ることなく殺人未遂の訴因を傷害と認定しうるとしたことは正当である。論旨が引用する高等裁判所判例は、訴因変更により公訴事実を異にするにいたる事例であって本件に適切でなく、論旨は採るを得ない。

同第五点について。

所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

その他記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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